鍼灸治療ってどんなふうにするの?

 良く未経験の患者様から質問されます。

「鍼って長いの?」、「痛そうやん!」、「どれ位刺すの?」、「お灸って熱いでしょ!」、「痕がつくやん!」等と言われます。治療未経験、知識もなければごもっともな感想だと思います。 

簡単に言いますと鍼(ハリ)、灸(キュウ)は治療道具です。病んだ身体にその道具をもって刺激を加え、身体が回復基調に乗るように調整する為に使います。どんな分野の仕事でもプロが使う道具は綺麗に丁寧に安全に使うと思います。そうでなければ良い仕事は

                           出来ません。ですので、危険、不衛生等のご心配は

                           全く不要です。

 

昔々から日本人のからだに!

 奈良、飛鳥時代に日本に伝わったとされる鍼灸治療は、漢方薬草と共に今日まで日本人の病苦治療に用いられてきました。漢方医学では、人体をめぐる気・血・水が過不足(アンバランス)になった結果、冷えや熱が発生して、病気になると考えます。この過不足な状態に鍼や灸を用いて患部又は経穴(ツボ)に作用させて過不足な状態を整えることにより病が癒えていくと考えています。鍼灸治療はこのアンバランスな状態の身体をナチュラルな状態に導き自然治癒力、免疫力を高める治療です。定期的に鍼灸治療を受けている方が「風邪をひかないなぁ~」、「肩が凝らないなぁ~」、「特に悪くならないなぁ~」、「あれだけ痛かったのに自然に消えたなぁ」と仰るのは以上のような理由からだと思われます。

 

手当の基本がここにあります!

 腰痛を例にあげますと、世間のイメージでは痛みが発生している腰の部分に鍼を刺したり灸をすえたりして、その刺激により痛みを消し去ると思われがちですが、実はそれだけでは無く大切な考え方があります。腰痛が現れるに至っている今の身体の状態はどうなっているのか?先ずその体内の変調をナチュラルな状態に整える事にによって腰痛が根本から癒えると考えます。その病の根本に迫る為に、手首の脈の状態、お腹やお顔手足の硬軟冷熱浮腫み、舌の色合い等を診て診察を進めます。それらの情報を元に全身のツボを選んでいきます。その結果、一見腰痛とは関係ないと思われる部分ですが、手足、お腹、頭等のツボに治療を行うのです。身体が自然治癒力を充分発揮できる様に処方したツボが治癒を後押ししているのです。単に患部に鍼を刺す灸をすえる刺激行為と捉えがちですが、鍼灸治療は漢方医学の理論にのっとり時間をかけて診察治療を行う極めて穏やかで優しい医療です。治癒と言う言葉があります。漢方医学はまさしく癒されて治まる医療、と言えます。

 

 全身の経絡(ツボ)を使って体の変調を整えますので、整形外科系の痛みに限らず内科系、婦人科系、皮膚科系、耳鼻科系、アレルギー系等の病にも対応しています。難聴、耳鳴り、ふらつき、皮膚炎、更年期障害、鬱、風邪、ED、胃腸障害、頭痛等でお悩みの方も病院と併用しながら鍼灸治療を受けられています。

 

 肩こりなので肩だけをとか腰痛なので腰だけの治療を希望される方もおられますが、その局所だけを治療しても体内の変調にアプローチしない限り良い結果が得られない事がお分かりになったと思います。又、1回で治してくれと言われる方もおられますが機械の修理ではありません。生身の身体ですので炎症が治まり傷が癒えるまで回復には時間が必要です。何か月、何年と経過した慢性症状です。どこに行っても治らなかった症状です。

じっくり構えて治療に取り組みましょう。